高野山と森林Koyasan and forest

高野山では、生きとし生けるものが共に扶け合う
「共利群生」を目指した森づくりをおこなっています。

高野山について

About Mount Koya

平安時代初期に弘法大師空海は遣唐使として恵果阿闍梨と出会い、密教を学んで日本へ帰国。816年、高野山は瞑想修行のための真言密教の道場として、8つの峰が囲む盆地系の標高900m程の冷涼な地域に開かれました。入口である大門から奥之院までは全長約4キロの道であり、宗教都市となります。弘法大師御廟を信仰の中心として、この地で高野山真言宗の信仰が守り継がれています。

高野霊木とは

森づくりの理念

Philosophy

尊厳護持

尊厳護持

開創以来、高野山は1200年に渡りその尊厳が護られてきました。金剛峯寺山林部では、先徳が育成し残してきた森林を1千年、2千年と後世に引き継ぐことを理念に森林の管理育成を行っています。「生かせ、いのち」の体現として、延々とこの高野山の森林を守り続けなければならない使命がここにあります。

共利群生

共利群生

金剛峯寺山林部では、生きとし生けるものが共に扶け合う弘法大師空海のお教え「共利群生」を目指した森づくりを行っています。森は、人のみならず、動物や鳥や虫、草木や花、石や土にいたるまでが扶けあい、共に利するものが群と為して生きている曼荼羅の世界そのものと言えます。

5つの森林

Five forests

「高野山の豊かな森を、後世に。」
光が入り、木が育ち、生き物が集まる森林づくりには、植えるだけではなく、枝打ちや間伐など、幾度もの人の手が加えられています。豊かな森を後世に残すべく、高野山では森林を5つのエリアに分類して、保護と利用を継続しています。

木の文化伝承の森

木の文化伝承の森

文化財の修復に用いる大径材を育て、また、端正な針葉樹の景観維持にも貢献する森林づくり。

仏法僧の森

仏法僧の森

奥之院の周辺であることから、弘法大師空海の教えを示すシンボルの森として育てるエリア。
高野山と縁の深い鳥である仏法僧(ブッポウソウおよびコノハズク)が帰る森林づくり。

高野六木の森

高野六木の森

高野山の森林のシンボルである高野六木の保護・育成する森づくり。

彩の森

彩の森

本来の自然植生を生かし、針葉樹と広葉樹が混じり新緑や紅葉を楽しみ、たくさんの生きものの暮らしを感じることのできる森づくり。

共生循環の森

共生循環の森

再生可能な資源である木材を多くの人々の生活の場に届けるため、持続的かつ効率的な木材生産を行い、循環社会の形成に貢献する森林づくり。

高野六木とは

What is Koya Rokugi?

杉、桧、赤松、樅、栂、高野槙。高野山では、これら6種類の木を制木と定め、江戸時代より寺院の建築・修繕用材として植樹を続けてきました。現在見られる高野六木の森の景観は、弘法大師空海の教えを現すとともに、後世に残すべき、木と共に生き続けるための智慧を今に伝えています。

杉

桧

赤松

赤松

樅

栂

高野槙

高野槙

奥の院の木々

Trees in the inner sanctuary

高野山の信仰の中心であり、弘法大師が御入定する聖地、奥之院。一の橋から御廟まで約2キロメートルの道のりには、おおよそ20万基を超える諸大名や公子の墓石や、祈念碑、慰霊碑の数々が、樹齢400~600年の杉木立の中に立ち並んでいます。それらの巨木群は、石の供養塔を持ち運べない人たちが、杉の苗木を祈りの印として、全国各地より持ち寄り、植えられ、育ててきたものです。そのため奥之院には各地の形質が様々な杉が立ち並び、信仰を見守っています。

奥の院の木々

生かせいのち。

Let life live.

人間と自然の融合。自然に生かされていること。1200年の森を守り続けること。循環型資源を活かし、生物の多様性をつくること。高野山の森林の永続性だけでなく、その森づくりの基本姿勢は、全国の森林に対しても尊厳を護持しうるものです。
「その願いの下に、我がいのちを生かそう」そんな理念をこめて、高野山は「生かせいのち」をメッセージに掲げています。自然という曼荼羅の中で生きていく「生かせいのち」の世界を共に。その信仰を支える高野山の森林では、ここから産出された木材にも新たな命を吹き込み、生かされ、利用されるための循環を続けています。

生かせいのち。

金剛峯寺山林部や、高野山で開催される森林セラピーの情報は、下記リンクからご覧ください。